日常的な歯のケアとしてまず思い付くのが歯磨きですが、皆様はどんなタイミングで歯磨きをされていますか？
起床後や就寝前の他、食後に磨くという方が多いと思います。
ただ「食後はすぐ磨くべき」「食後すぐに歯を磨くのは良くない」の両方を聞いたことがあって悩んでいるなんて方もいらっしゃるかもしれませんね。
実際どちらが正しいのでしょうか？
今回は食後の歯磨きについて考えてみましょう。

「食後すぐ歯磨きはダメ」という説は本当？

何かを食べたり飲んだりすると、その飲食物を元に口内にいる菌が酸を作り出します。
酸は歯の表面を溶かす「脱灰」の原因となりますが、唾液などによって口内の酸が中和されると脱灰して溶け出した歯の成分が歯に戻って修復される「再石灰化」が起こります。
この食後すぐの口内が酸性になって歯の表面が弱くなった状態で歯磨きをすると歯を傷つけてしまうので良くない、というのが「食後すぐの歯磨きはダメ」に繋がったのでしょう。
また歯の一部である象牙質と炭酸飲料を使った実験の結果が、食後すぐの歯磨きが歯へのダメージになるかのようなものであったことも影響していると思われます。
ただこの実験は口内環境を忠実に再現して行われたものではなく、口内でも同じようにダメージがあることが証明されたわけではありません。
そのため「『食後すぐの歯磨きはダメ』は正しくない」ということになるのですが、注意したいのが酸蝕症の方です。
酸性の強い飲食物を好むなど口内が酸性になりやすく歯が溶ける恐れが大きい酸蝕症の方の場合は、食後すぐの歯磨きは歯への悪影響となる可能性が高いため、ある程度時間を空けてから歯を磨いた方が良いでしょう。

食後すぐに歯を磨くメリット

一般的には食後はすぐ歯磨きをした方が良いと言えますが、具体的にどのようなメリットがあるかというと、まずは口内の細菌の増殖を抑えられることですね。
口内に飲食物が残っているとそれを元に細菌が酸を作りながらどんどん増殖していきます。
すぐに歯を磨いて飲食物を取り除けば細菌の増殖を抑えらますし、細菌の塊である歯垢の付着を防ぐことにも繋がります。
また飲食により酸性になった口内を中和させるためにも、食後すぐの歯磨きは有効です。
通常の飲食であれば歯磨きによる歯へのダメージを気にする必要はないものの、酸性の強い飲食物を口にした後などどうしても気になる場合はまずしっかりうがいをしてから歯を磨くようにすると良いでしょう。

毎食後に歯を磨けない時は？

とはいえ毎食後しっかり歯磨きをするのは難しい場合もありますよね。
そんな時にはうがいをするようにしましょう。
マウスウォッシュ（洗口液）を使うとより効果的です。
うがいも難しいという場合には口内の汚れを洗い流すように意識しながら水を飲んでください。
水を飲むことは口内の中和にもなります。
唾液も口内を中和させてくれますので、シュガーレスのガムを噛むこともおすすめです。
食後すぐに歯を磨くのが理想ではありますが、無理せずできる範囲でケアを心掛けていきたいものですね。

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