歯科医療を受けようと思うと患者さん自身が歯科医院へ行くケースが一般的ですが、実は訪問歯科診療を行っている歯科医院も少なくありません。
高齢者の割合が増え続けている昨今、訪問歯科のニーズは年々高まっています。
そんな訪問歯科は具体的にどのように行われているのでしょうか。
歯科衛生士の役割をメインに、訪問歯科について見ていきましょう。

訪問歯科ってどんなお仕事？

様々な理由から歯科医院へ行くことが困難である患者さんのもとに赴いて歯科診療を行うのが訪問歯科診療です。
訪問歯科では高齢者や障害をお持ちの方のもとに赴くことが多く、患者さんのご自宅の他、介護施設や支援施設などを訪問する場合もありますね。
虫歯や歯周病の治療はもちろん、入れ歯のメンテナンスや口腔機能のリハビリなど、訪問診療でも様々な診療を受けることができるようになっています。
歯科医院を中心に半径16kmの範囲内であれば保険診療が可能です。
訪問の際は歯科医師と歯科衛生士、コーディネーターというチーム構成が基本ですが、場合によっては歯科衛生士のみでの訪問となることもあります。

訪問歯科における歯科衛生士の役割

歯科衛生士の仕事は「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」の3つですが、これは訪問歯科においても変わりません。
歯科医師の診療をサポートし、虫歯や歯周病の原因となる歯垢や歯石の除去を行います。
ただ通常の歯科医院での診療に対し、訪問歯科では要介護度の高い患者さんへの処置も多くなりますので、それぞれの状態に合わせた口腔ケアが必要になりますね。
咀嚼や嚥下などの機能の維持・改善のためのトレーニング指導を求められたり、ご家族など介護をされている方に向けて口腔ケアの方法を指導することもあるでしょう。
歯科医師や他の歯科衛生士だけでなく、介護士や理学療法士、ケアマネージャーといった方々と協力する場面が出てくるのも訪問歯科の特徴です。

歯科訪問診療を行うのに必要な認定資格

歯科衛生士としての基本的な仕事は訪問歯科においても同じではあるものの、介護を必要とする患者さんのケアでは介護の専門知識を身に付けていた方がより適切に処置できるようになります。
そのため訪問歯科を行う際には介護について勉強したり、認定訪問歯科衛生士の資格取得を目指す歯科衛生士もいますね。
認定訪問歯科衛生士は日本訪問歯科協会によって認定される資格で、2年以上の実務経験や講習会などへの参加を経て試験に合格できれば取得できます。
他にも摂食・嚥下リハビリテーション認定歯科衛生士や口腔機能管理認定歯科衛生士などといった認定資格を取得できれば、実際に訪問診療を行う際に役立つでしょう。
また認定資格は専門的なスキルを持つ歯科衛生士であるという証明になりますので、転職などの際に有利になるというメリットもあります。

訪問歯科でも必要不可欠な存在である歯科衛生士は国家資格です。
専門学校や大学などの養成機関で3年以上学び、卒業後に国家試験に合格すれば歯科衛生士として働けるようになります。
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